
作品を購入し、家に飾っている絵画や立体作品をみていつも思う。近くにあるのに遠い存在であると。そこに絵画の素晴らしさを感じつつも、
少しだけ寂しさを感じるのだ。
もっと自分のものにしたいという独占欲、所有する人にだけ与えられる喜びや発見。そんな絵画を自身の好きな線や棘で表現できないかと考え、
"thorn"と"vein"は生まれた。
また、私の作品では、棘や線を"人"と考えている。
‘thorn"は植物の棘から着想を得た作品である。
作品の棘が折れると様々な色が見え、
どの棘が折れるか、どの棘を折るか、まるでヴィンテージデニムの様、保有者によって変化してゆく。そして形や大きさは棘の個体によって不均一なので直射日光によっても見え方が変わる。その不均一さこそ人間そのものではないか。
また、私はその’"変化"に着目しており、絵画には望ましくない経年劣化を"経年変化”として再解釈した。従来絵画は作家のみが手を加えるものであろう。しかし”thorn”は作家と保有者が互いに手を加え、想いと共に作り上げてゆく作品なのである。自然環境によるキャンバスの変形によって棘にクラックが入るかもしれない。なにかがぶつかって棘が折れてしまうかもしれない。
私はそのような変化を否定する事自体を強く否定したい。なぜなら人間こそが傷つきながら
良くなっていくものだと考えているからだ。
作品を通して、傷つきやすい、心弱き者に少しでも勇気を与えたい。
”vein”は、血管からインスピレーションを受けてできた作品であると同時に、棘を側面的に見た作品である。複雑に絡み合う線はまるで人間関係の様。線の中に流れるものは、単なる絵の具だけではなく、私が伝えたい感情そのものが流れているのだ。
どれだけ”棘”がある人も、捉え方によっては愛を表す事もあるだろう。
繊細な棘が傷ついた時、繊細な棘が折れた時、
その人が持つ優しさの色が見えてくる。
人間関係が疎遠になりつつあるこの時代に、私は棘一つでそれぞれが持つ心の優しさや人と人の繋がりを確かめていきたい。
410×410mm
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